三叉神経痛の基礎知識

dr_hayashi
東京女子医科大学 脳神経外科 講師
林 基弘先生

ガンマナイフとは

ガンマナイフとは定位的放射線手術のひとつとして位置付けられており、放射線治療というよりは脳神経外科手術の領域に属します。その中でも、もっとも体に負担の少ない治療で、メスで切る代わりにガンマ線を病巣に集中照射することで、開頭せずに根治する画期的な治療法です。歴史は古く、1951年にスウェーデンでレクセル教授によって開発された治療機器システムであり、日本に初めて導入されたのは1990年です。当時は手術不能な脳腫瘍や脳動静脈奇形のための治療機器として広く普及しました。しかし一方で、レクセル教授の思惑は実は、三叉神経痛根治のため開頭せずにいかに治すのか?ということを命題に、この治療機器を開発したと伝え聞いています。

ガンマナイフは他の定位放射線手術と異なり、頭部にフレーム固定を行う観点から治療精度が最も高く、その信頼性は0.1ミリ(髪の毛一本分)となっています。三叉神経痛治療では幅3ミリ弱の神経に、如何に正確に集中照射させるかがポイントとなるため、このガンマナイフが威力を発揮します。

ガンマナイフによる三叉神経痛の治療

健康保険の適応になっているのは、「薬物療法による疼痛管理が困難な三叉神経痛治療(薬剤抵抗性の難治性三叉神経痛)」です。当科ではまずテグレトール(カルバマゼピン)を中心とした薬物投与(起床時および就寝時の2回)が基本となります。その結果、効果がないか、副作用による投薬継続の出来ない患者さんに対して、75歳以下であれば外科手術(神経血管減圧術)を、それ以上であればラストホープとしてガンマナイフを選択しております。手術で効果が見られなかった患者さんもガンマナイフの適応となるケースが多いです。

ガンマナイフ治療を行う際には、まずレクセルフレームという金属の枠を頭部に固定します。その際にフレームと三叉神経の走行が平行となるよう注意して行います。その後、超薄スライスMRI(0.5mm幅)とCT撮像を行います。それら画像情報すべてを治療計画用コンピュータへ転送し、その中で治療計画を立てます(図1)。専門的には三叉神経節やや後方の三叉神経をターゲットとし、4mm大の球形照射野を点と点で合わせるようピンポイントで照射いたします。照射時間は1時間以内ですので、ほとんどの患者さんは日帰り治療としています。

当院での成績では、すぐに効果の出る患者さんが全体の15%ほどで、大方は治療後3週間ほどを要します。3か月までに全体の95%の患者さんに強い疼痛発作が無くなります。経過として、一旦疼痛発作寛解しても、6-9か月後に再度再燃する患者さんが全体の半分ほどいます。10年後の疼痛再発率が30%ほどです。また、合併症として、気になる程度以上の顔面痺れ(三叉神経障害)が全体の25%に見られます。さらに、精神まで害してしまうほどの顔面痺れは全体の12%に及ぶため、治療適応には慎重に検討する必要があります。

最後に、三叉神経痛に対するガンマナイフ治療は発作痛が取れればそれで終わりというものではありません。外科手術のような根治的治療ではないので、ときに再燃や顔面しびれなどがあり外来で長くお付き合いをしていく必要があります。ですので、痛い時に安易に治療を選択せず、自分の三叉神経痛がどのようなもので、いまどの治療が最適なのかということを納得して受けるべきです。つまり、どの病気もそうですが、治療医との信頼関係を築くことが第一であると思います。
ガンマナイフについてより詳しい情報はこちらをご覧ください。

    |   記事一覧  |  
ガンマナイフ治療を受けられる病院
トップのページへ