三叉神経痛の基礎知識

dr_matsuda
千葉中央メディカルセンター 脳神経内科 部長
松田 信二先生

三叉神経痛とは

三叉神経は顔や口の中、鼻の粘膜の感覚を脳に送る感覚神経で、脳から直接出ています。もう少し詳しく説明すると、脳の深いところにある「橋」というところから、前方少し外側に向かって伸び、頭蓋骨のトンネルに入りますが、その直後に3つに分かれています。このことから、三叉神経という名前がついています。この3つの神経の向かう先は、おでこ(前額部、第一枝領域)、ほっぺた(頬部、第二枝領域)とあご(下顎部、第三枝領域)の部分
です。
三叉神経は、顔の表面だけではなく口の中にも分布しています。上あごには第二枝と呼ばれる三叉神経が、舌の一部と下あごには第三枝が広がっています。

慶應義塾大学病院
医療・健康情報サイトKOMPASから許可を得て転載

三叉神経痛の激しい痛みの特徴

三叉神経痛の患者さんが訴える痛みは非常に特徴的です。ここでは3つの代表的な特徴をあげます。

「症候性三叉神経痛」と「特発性三叉神経痛」

神経痛が生じる原因によって、「症候性三叉神経痛」と「特発性三叉神経痛」(国際頭痛分類の名称は「典型的三叉神経痛」)に分けて診断されます。

症候性三叉神経痛

分かりやすいように、症候性三叉神経痛から説明します。症候性三叉神経痛とは、何かの病気があることが原因となって生じる三叉神経領域の神経痛をさします。原因となる病気には、髄膜腫、聴神経鞘腫、類上皮腫などの脳腫瘍、脳梗塞や脳出血等の脳血管障害、脳動静脈奇形という血管そのものの異常、多発硬化症というやや特殊な病気があります。また、顔面の帯状疱疹の後に生じることもあります。

これらの病気のほとんどはMRIを撮影することで確認できますが、脳梗塞などを目的とした脳全体を対象としたMRIでは十分に確認することができない場合もあります。原因になる病気を確認する為には、三叉神経が出てくる「橋」という脳の部分を細かく観察できる方法で撮影することが必要です。症候性三叉神経痛では、神経痛の症状以外に顔面の感覚異常がある場合や、長く痛みが続く場合があります。

特発性三叉神経痛(典型的三叉神経痛)

症候性三叉神経痛ではないと確認された場合に初めて、「特発性三叉神経痛」と診断します。「特発性」という表現は、MRI等の精密な診断機器が存在しない時代に定義されたもので、実際には「痛みの原因が不明」と同じ意味です。特発性三叉神経痛では、延長蛇行した脳の動脈や静脈が三叉神経の根本近くを圧迫することが、原因になることが多いと言われています。

私達がガンマナイフで治療した特発性三叉神経痛110例のうち、微小血管減圧術後の13例を除いた(手術の影響で三叉神経周囲の構造がわかりづらいことが多いため除外して検討しています)、97例中87例で動脈による圧迫を、2例で静脈の接触をMRIで確認しています。代表的な症例を図1から図3に示します。

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