三叉神経痛の基礎知識

dr_higuchi
千葉大学 脳神経外科 准教授
樋口 佳則先生

三叉神経痛は血管により三叉神経が圧迫されて生じる三叉神経領域(顔面、口腔内など)の痛みですが、同様の部位に痛みを生じる可能性のある病気をあらかじめ調べておかなければなりません。他の病気に伴い生じる三叉神経痛を「症候性三叉神経痛」といます。三叉神経痛は、痛みを生じる病気ですが、感覚が鈍くなる、しびれるなどの症状は通常生じません。
トリガーポイント(痛みが生じるきっかけになる部位)がなかったり、痛みが持続性であったり、痛み以外の症状がある場合には、症候性三叉神経痛を疑い、他の病気の存在を調べる必要があります。血管圧迫による三叉神経痛の患者に比べ、若年者に多いといわれています。

三叉神経痛と似た症状を生じる病気

①脳腫瘍

三叉神経のまわりに腫瘍ができて、三叉神経を圧迫、もしくは腫瘍により圧迫された血管が三叉神経を圧迫することにより、三叉神経痛を生じることがあります。腫瘍の種類は、神経鞘腫、髄膜腫、類上皮腫などがありますが、三叉神経痛の数%にしか過ぎません。三叉神経痛が診断された際に、MRIによる画像診断を行うことで、腫瘍性病変がないことを確認できます。

②帯状疱疹由来の三叉神経痛

帯状疱疹ウイルスによる病気で、神経の支配領域に沿って水疱ができ、その部位に痛みを伴います。焼けるような持続的な痛みや、典型的な三叉神経痛のような電撃痛を伴うこともあります。帯状疱疹が消失した後も激しい痛みを伴うことがあり、帯状疱疹後神経痛といわれています。

③トロサ・ハント症候群

一側の目のまわりの痛みとものが二重に見える症状(複視)を繰り返す病気で、ステロイドという薬によく反応する病気です。三叉神経第1枝や眼球を動かす動眼神経・外転神経、滑車神経が走行する海綿静脈洞という部分に肉芽性炎症が生じることが原因と考えられています。

④三叉神経・自律神経性頭痛

短時間持続の一側性激痛頭痛発作に、同側の流涙・結膜充血・鼻漏・鼻閉などの頭部副交感神経系の自律神経症状を伴うことを特徴とした頭痛です。群発頭痛、結膜充血および流涙を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNCT)などはこの頭痛分類に属します。目のまわりの痛みで発作的に痛みが生じるため鑑別する必要があります。

三叉神経痛は典型的な痛みの性状と病歴で診断は可能ですが、上記のような三叉神経痛と似た症状をしめす病気は治療法が異なり、鑑別する必要があります。脳腫瘍は、頻度は少ないものの、MRIにより診断が可能です。

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