三叉神経痛の基礎知識

dr_yamagami
更新日 18.04.27 三叉神経痛の手術 「頭蓋内微小血管減圧術」 第21回日本脳神経減圧術学会会長(2019年1月開催予定)
千葉メディカルセンター 副院長 脳神経外科
山上 岩男先生

「三叉神経痛に対する手術は何と呼ばれるものですか?」

「頭蓋内微小血管減圧術」と呼ばれる手術です。覚えにくい名前かも知れませんが、頭蓋内(頭の中)で、微小血管(とても小さな血管)を、手術により移動することで、三叉神経痛の原因となっている三叉神経に対する血管圧迫を減圧(圧迫を解除)するという意味です。この手術は「脳神経減圧術」「微小血管減荷術」と呼ばれることもあります。1970年代から行われている手術で、手術方法や効果も歴史的に確立された三叉神経痛の根治術(根本的な治療法)です。

「微小血管減圧術」は具体的にどんなふうに行われますか?」

痛みがある側の耳の後ろを長さ10センチ切開し、その部分で頭蓋骨を4×3センチはずします(頭蓋骨をはずすことを開頭と呼びます)(図1&2)。

ただ、切開は毛髪に隠れる範囲ですし、はずした頭蓋骨は手術終了時に戻しますので、切開の長さや開頭の大きさにこだわる必要はありません。目的の三叉神経は小脳の奥に隠れているので、小脳を軽くよけて三叉神経に達します(図3)。

三叉神経を圧迫する血管(責任血管)を見つけ移動させます。責任血管を移動する具体的な方法は、糊や紐(のようなもの)で血管を付近に固定するなど色々ですが、移動した責任血管が後に再び三叉神経を圧迫しないようにします(図4)。この手術は奥深く細かい操作であるため手術用顕微鏡を用います。減圧終了後、硬膜をしっかり閉じ頭蓋骨も元に戻し固定します。

「麻酔は、やはり全身麻酔ですか?」

はい、頭の中で行う繊細な手術ですので全身麻酔です。

「危険のない手術でしょうか?」

すべての手術には思いがけない合併症が起こる可能性もありますので、この手術にも危険が全くないというわけではありません。しかし基本的に、この手術は三叉神経を圧迫している正常な(責任)血管を移動するだけで、脳や神経、血管などを痛めることはないので、通常は手術後、新たな症状は出ません。
手術合併症として最も頻度の高いものは ―と言っても数%の頻度ですが― (手術を行う側の)聴力低下(聞こえにくくなる、あるいは聞こえなくなる)です。

「手術を受ければ必ず三叉神経痛は治りますか?」

手術後、痛みが完全に消失する(痛み止めの薬も不要になる)のは70%ほどです。痛み止めを併用することで痛みが軽快する場合も含めると、手術で効果が得られるのは80%ほどです。

「手術は、いつ受けたら良いのでしょうか?」

神経ブロックやガンマナイフを受ける前に手術を受けるべきです。基本的に神経ブロックやガンマナイフは、三叉神経を障害する/傷めることにより、三叉神経痛を治療する方法です。手術前にこれらの治療を行った場合は、手術により本来の三叉神経痛は完全に消失しても、神経ブロックやガンマナイフにより傷んだ神経が、顔のしびれや感覚異常を示すため、手術後の満足度は低下します。テグレトールなどの内服薬では、このような神経障害は起こらないので、手術の治療結果への影響はありません。

「入院はどのくらいの期間ですか?」

通常2週間です。

「手術後の再発はないのでしょうか?」

再発率は10%ほどです。

「再発した場合は、もう一度手術ができますか?」

はい、再手術は可能です。ただ再手術は初回手術にくらべ一般的に難しいものです。癒着のため三叉神経を傷めることが多くなり、手術後、顔のしびれなど(三叉神経の障害)が残る可能性が高くなります。

紙面の都合上、手術に関する一部を解説しました。詳細については手術を実際に行っている脳神経外科施設にご相談下さい。

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